2007年2月22日木曜日

東京の豆腐屋さんの自殺の話

先日触れた東京荒川の豆腐屋さん親子の自殺は、その背景を観察すると、地域社会が大きく変貌していることが明らかになりました。下町と言ってもこのあたりに住むことが出来る人は、親の土地があるからか、あるいはお金持ちでないと住めません。
 だからこういう地域は高齢化がかなり進行して、新住民は新築マンションに住み、けっして新たな地域社会が形成されたとは言えないいびつな構造がつくられつつあるといわざるをえません。
 旧商店街はシャッター通りになり、高齢者が店をお守りするという状態でした。この近くに超高層マンションが出来ました。でもお客は戻りませんでした。というのは、このマンションの1階にスーパーが併設されており、ここで全部まかなうことが出来たわけです。このマンションの地階からは地下鉄の駅に直接行ける専用通路があるのです。いわば、このマンションはねぐらとして利用する人もそれないりおり、マンション住民の意識はこの地域の住民の意識とはならなくても不思議ではないのです。
 こんな状況が、全国至る所で展開しています。「ファウスト風土」なんて言葉がはやりましたが、東京荒川区の事例は、そのゆがんだ現れなのかあるいはあらたな社会問題のパターンなのかはしばし時間はいるようです。