2007年8月10日金曜日

不登校の増加

以下全国不登校新聞社HPより

学校基本調査 不登校増12万6764人に中学生に占める割合は過去最高  8/10
 8月9日、文科省は学校基本調査、児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査の速報を発表した。速報によると、昨年度の「不登校」を理由とする長期欠席者数(年間30日以上)は12万6764人(前年度比4477人増)だった。不登校者数は1975年以来27年間増加し、その後、4年間微減を続けていたが増加に転じた。全児童に占める割合は1・17%。少子化の影響もあり、中学生に占める割合は2・86%と過去最高を記録した。 進む高学歴化・ニート層の減少  学校基本調査速報によると、小・中学校の在籍者数は1074万7420人(前年度比4万1524人減)であった。06年度の「不登校」による長期欠席者は、小学校が2万3824人で、全児童に占める割合は0・33%、中学校が10万2940人で、全生徒に占める割合は2・86%となった。長期欠席者数全体も昨年度に比べ9000人増加した。  今調査で過去最高を記録したのは、大学・短期大学の現役進学率51・2%、過去年度高卒者を含む大学・短期大学進学率53・7%などであった。例年、過去最高を記録していた大学院進学率は12%(0・1ポイント減)であったが、大学などへの現役進学率がはじめて5割を越えるなど、高学歴志向の高まりが見受けられた。  卒業後の進路だが、就職率は、高卒18・5%(0・5ポイント増)、大卒67・6%(3・9ポイント増)など上昇した。また「進学も就職もしていない者」(無業者、家事手伝い、起業準備を含む)の総数は15万3448人と前年比2万2096人減となった。内訳は中学卒1万4553人(96人増)、高校・専門学校卒、6万150人(6522人減)、大学・短大卒7万8745人(1万5163人減)、大学院卒1万2337人(497人減)。「進学も就職もしていない者」は、いわゆる「ニート」層の調査がはじまってから3年連続で減少した。 不登校理由きっかけは?  「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」によると、不登校をしたきっかけは、多い順に「本人の問題に起因」37・6%、「学校生活に起因」35・5%、「家庭生活に起因」18・5%となっていた。  不登校が継続している理由として、もっとも多かったのが「不安など情緒的混乱」31・7%、次いで「無気力」24・8%、もっとも少なかったのが「教職員との関係」0・9%だった。今回、きっかけ、継続理由に「いじめ」の項目が新設された。いじめを不登校のきっかけに選んだのは3・2%、継続理由は1%だった(※「継続理由」「きっかけ」は複数回答)。  また、適応指導教室などを利用し、学習指導要録上は出席扱いとなった児童生徒は1万7232人だった。そのうち、適応指導教室の利用者は1万6474人。指導要録上、出席扱いになったのは1万2789人で利用した77%が出席扱いとなった。一方、民間施設の利用者は2571人で、出席扱いになったのは771人だった。民間のフリースクールに通っている場合でも、学習指導要録上は校長裁量で出席扱いとなるが、学校基本調査上は欠席扱いとなっている。  「指導の結果、登校するようになった児童生徒」は3万8572人。このうち、「とくに効果があった学校の措置」として、一番多く選ばれたのが「電話をかける」「家庭訪問」などであった。  文科省は不登校の増加に対して「一概には言えないが、各県から『対応が十分でなかった』『家庭教育力の低下』『人間関係を不得手とする者の増加』などの声が寄せられた」との見解を示した。また、いじめ報道の影響については「『ムリに登校せず不登校を、という保護者が増えた』という指摘もあったが、学校から『いじめがあるなら行かなくてもいい』というメッセージを発してはいない。増加が、いじめ報道の影響によるものなのかはわからない」との回答にとどまった。 長期欠席も9000人増 病欠はピーク時より4万人減?  学校基本調査の速報によると、06年度の長期欠席者数の全体は小学校で6万1096人、中学校で13万5472人、合計19万6568人(8919人増)となっている。  不登校以外の理由別長期欠席者は、「その他」が2万1942人(2348人増)「病気」が4万7580人(2101人増)であった。  91年以降の調査によると、長期欠席者の推移は、91年から増加を続け、98年から01年まで22万人代を推移する。その後は減少をし始め、少子化の影響もあり、04年には18万人にまで減少した。しかし、現在は2年連続で増加に転じている。  この傾向は「不登校」「その他」も同傾向にある。「病気」に関しては、91年から97年までほぼ8万人から8万5000人のあいだで増減をくり返していたが、その後は減少を続け、04年には4万5000人となった。
 現在、発達障害やうつ病などの社会的認知が高まっている。こうした流れは、現場のニーズの高まりというより、「新しい病気をつくって、患者を増やしている」という指摘もある。しかし、学校基本調査では年間30日以上の「病欠」が、この7年間で4万人も減少した。  一方、調査上、「不登校」と「病気」の定義についても、あいまいな点が残っている。不登校を苦にし、うつ病と診断された場合などでは、「病気」か「不登校」か、どちらに判断されるのであろうか。この点について、文科省は「病気か、不登校か、判断は現場に任せているが、『病気』と『不登校』が重なる場合なども含め、実態が見えやすいようにしていきたい」と話した。
 
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