2016年3月6日日曜日

市民フォーラム160306

いよいよ明日開催ですが、
講師の木下ちがやさんからレジメをいただきましたので、ご紹介します。
「3・11から野党共闘へ」ということですから、ぜひお越しください。
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3・11から野党共闘へ


                               木下ちがや


1、「日本政治史上の画期的転換」としての5野党の選挙協力

*60年安保と何が違うか―政党間の枠組みは変わらず、運動は四分五裂した。

*70年代の革新自治体の経験とは何が違うか―あくまで政党・知識人が主導したものだった。

〈何があったのか〉

・奇妙な「結末」―「国民連合政府構想」はダメなのに、さまざまな政策協定と、一定の「政権構想」が結ばれつつある。

・共産党が国民連合政府構想を提示―生活、社民はのったが、民主は動揺

・民主党内部➀弱い執行部②右派は維新or大阪維新との合流によりイニシアティブをとろうと策動③一部は②と結びつきつつ、共産党抜きの市民との共闘を模索③共闘志向の地方組織④沈黙する連合


・市民連合の登場―熊本での候補者擁立―各地域で、共闘への動きが強まる。連合も地方組織によっては共闘志向になる―党大会の地方代議員会議での地方からの突き上げ―執行部は党大会で右派を封じ込め、切羽詰まった維新は共産党「でも」組むという方向に転換―社民、生活、維新に踵をあわせるかたちで、民主執行部も5党共闘に踏み切った。

・結果的に5党共闘により、野党はより左傾化・対抗野党化するかたちになった。

・安倍政権―発足以来の危機的な状態―➀同日選挙をちらつかせ、また鈴木貴子のように介入することで、野党の分断をはかる②野党の論点を「先取り」するかたちで、多数派を維持しようとしている③稲田朋美「敵は確かな野党の共産党だ」。これから猛烈な反共分断工作がはじまる。

*こうした流れは世界と軌を一にしている―中道政治の崩壊は、極右ポピュリズムと左派ポピュリズム両方の台頭を生んでいる。

2、3・11から現在まで―運動モジュールと政治モジュール


・3・11後の運動の担い手-文化的資本と社会的地位のギャップから生じた「知的な政治主体」の合流-旧態依然とした活動主体から、いまある大衆文化、消費文化に対応した方法論を模索できる主体の合流⇒したがって潜在的には「活動家」的世代間対立がある。

・集団形成と自発性-SNSを媒介としたネットワーク型、水平的な結集。

・エジプト革命のタハリール広場、オキュパイ運動のズコッティ広場、日本の反原発運動などにおける官邸前、国会前、台湾ひまわり運動の立法院、香港雨傘革命のセントラル広場…空間・場を占拠し、それまでの仕切りを越えた多種多様な人々が「共通の敵」への怒り一点で集い、運動を世界にむけて可視化していくという共通の特徴をもっている。

3、新しい政治の形成

沖縄
・「沖縄建白書」運動をはじめとする、草の根からの島ぐるみの取り組みは、従来の保守/革新の枠組みをこえ、さらに沖縄財界まで巻き込む共同戦線をつくりあげた。そしてその枠組みは、旧来の55年体制下の政党間の数合わせでもなく、本土の二大政党制に対応したものでもない、独自の政治ブロックとして形成された。
・主要全国政党の組織力の低下と、とりわけ地方末端への統制力の弱体化の産物。自民党沖縄県連の多数が党中央に逆らい離党し、公明党本部は県本部の独自行動を認めざるを得なかった。沖縄県の民主党は壊滅しており、社共の伝統的な革新ブロックは自前で対抗運動を組織する力量をもはや失っていた。こうした中央政治の統制力・統合力の弱体化が、地域レベルでの自由な交流と、辺野古基地移転反対の一点での結集を可能にする余地を切り開いた。
・沖縄県知事選挙における翁長候補の圧勝、また総選挙におけるオール野党候補の全勝は、このように形成された政治ブロックが政治的に有効な力たりえることを実証した。

大阪

・沖縄と大阪は、地元の自民党、公明党と中央が事実上の対立関係に至ったこと、民主党が議会から消滅したこと、そして保守勢力と共産党の共闘がすすんでいたなどの点で似たような図式が形づくられつつあった。
・大阪と沖縄の違いは、「SADL」という、反維新陣営を接合する無党派市民運動が活躍したこと(大阪の反原発運動、反レイシズム運動をつうじて集まった人たちが中心)。大衆運動団体が政党間をつなぐというモジュールが、ここで形成された。のちにシールズやママの会、学者の会が果たしていく役割のモデルがここで形成された。

⇒単に無党派層の運動がたちあがったというだけではなく、その無党派の運動が既成政治勢力同士を結合させたり、分裂させる威力を発揮したことが特徴。したがって「新党運動」はまったくでてこない。

4、二つのモジュールの結合-15年安保闘争

・安倍政権の「非ポピュリズム的性格」-メディア・大衆を有効に動員し敵を制覇する小泉の権威主義的ポピュリズムとは逆。メディアをひたすら統制し、また安保法制の審議においては中国への配慮から対外的な危機の煽りができなかった⇒対抗勢力による民主主義的ポピュリズムの制覇。

・総選挙で民主党は左傾化の兆し、共産党が躍進し民主・共産共闘の基盤が作られ、同盟関係の「第三極」が後退(これにより特定秘密保護法制定時と同じようなシナリオが描けなくなった)、さらに大阪住民投票の敗北が打撃に――しかし、安倍は意気揚々とアメリカで「夏までの成立」を宣言-この時点では、自民公明維新が国会を主導し、「なんとかなる」と想定していた

・対抗勢力の形成――①沖縄―大阪とつづく政治ブロックの形成を背景に、国政でも対抗政治ブロックが形成され、政治と世論・運動を結ぶ回路が一定の回復をみた②安保法制そのものへの反発と、立憲主義への反発が合流し、さらにメディア弾圧、沖縄の反発が加わることで、闘いの焦点が安保法制から民主主義全般の問題へと拡大した。この①と②の有機的な結合に対し、多元性を喪失した与党は柔軟な受動的対応ができない、だから押されればおされるほどこれまでの合意形成システムを破壊することで対応し、そしてますます対抗側のウイングを拡大するという「サイクル」が生じた。


・非暴力直接行動について-横浜のシットイン、国会前の開放など、数十年間忘れられていた直接行動の「やり方」が習得されていく。

・「二つのモジュール」の合流を象徴したのはシールズ-「学生運動」から「学生の運動」へ。「層」としての学生運動ではなく、「器」としての学生運動へ-野党共闘の器であり、既成の政治社会組織の弛緩・崩壊から生み出された「個人」が集合する器として、機能した。

おわりに
・3・11から五年、わたしたちはまだ「途上」にいる―予測不可能な展開がつづいていく―3・11は風化しない。戦争体験とおなじ「原点」としての3・11-3・11の経験が、これまでにない新しい結びつきをつくりあげていく。

                                   以上
> 以下転送転載拡散歓迎
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> ■□■市民社会フォーラム第173回学習会■□■
> 2010年代の社会運動-その経験と思想、課題
>
> 日 時 3月6日(日)14:00~17:00
> 会 場 元町館「黒の小部屋」(元町映画館の2階)
>      http://www.motoei.com/access.html
> 講 師 木下ちがやさん(明治学院大国際平和研研究員)
> 参加費 1000円
>
>  お申込みなしでどなたでもご参加できますが、人数把握のためご連絡くださればありがたいです。
> メール:civilesocietyforum@gmail.comまで。
>
> 福島原発事故から5年、安保関連法強行採決から半年をむかえる今、国会・官邸前から全国各地で広がる様々な社会運動の経験を理論化し、今後の課題について交流します。
> 講師に、官邸前などで脱原発・反安保の運動を下支えしながら政治学者として研究・発言を活発にされている木下ちがやさんをお招きします。
>
> 木下ちがやさん
> 1971年徳島県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学(専攻:政治学)。
> 著書に『国家と治安ーアメリカ治安法制と自由の歴史』(青土社) 。
> 翻訳にデヴィッド
> グレーバー『デモクラシー・プロジェクト』(航思社)、デビット・ハーヴェイ『新自由主義』(作品社)、ノーム・チョムスキー『アナキズム論』(明石書店)など。
>                                         


MLホームページ: http://www.freeml.com/civilsociety-forum

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