2010年2月19日金曜日

韓国中央日報の論評

少し長いですが近隣諸国のなかにある1つのとらえ方を紹介します。
  
【クローズアップ】トヨタ問題を眺める相反する視点(1)
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長谷川和広氏「‘器’以上のことをしたのが問題」
「トヨタ自動車が自社の‘器’以上のことをした」。日本で‘コンサルティングの神’で呼ばれる長谷川和広・会社力研究所代表(70)の言葉だ。能力以上のことをして事故を起こしたということだ。トヨタの強みである品質管理の失敗を意味している。 40年以上もグローバル企業をコンサルティングしてきた長谷川氏の診断は明快だ。長谷川氏は日本で赤字企業を黒字に転換する‘問題企業コンサルティング’の第一人者と見なされている。長谷川氏にトヨタのリコール問題で俎上に載せられた日本の‘品質神話’の危機と未来について尋ねてみた。インタビューは16日、東京都内の長谷川氏の事務室で1時間ほど行われた。 --トヨタのリコール問題の原因は何か。 「事業規模が‘器’を超過した。トヨタの強みは品質管理だった。しかし日本の外に出て行けば、日本でできることができなくなる。トヨタが意図するような品質管理ができない。海外工場ではトヨタ方式の管理方式が到達しなかった。グローバル化をあまりにも急いだ。会社が統制範囲以上に大きくなった。自動車は現在開発している技術が5年後に使われる。部品企業はすでに5年前から部品価格引き下げ圧力を受けてきた」 --どの部分で品質管理に穴が開いたのか。 「日本の品質管理は韓国・中国企業とは概念が大きく違った。日本は良い物を作るための品質管理だった。韓国と中国は大量生産のための品質管理だった。トヨタはグローバル体制でも品質統制が可能だと考えた。技術力に自信があり、トヨタの標準を使えばよいと考えた。しかし実際にはそうでなかった。むしろ韓国と中国では今、品質管理の基準が良い物を作る方向へと変わっている。日本が恐れる部分だ」 --電子制御システムまで信頼性が疑われている。 「これから途方もない法的紛争事になるだろう。車の設計上には問題がないはずだ。トヨタも製品に問題がないと最後まで主張するだろう。しかしグローバル体制になったことで、部品に欠陥が生じたり、どこかで問題が発生する可能性がある。どの企業にもこういうことは考えられる。どの製品も完ぺきなものはない。米国の過剰反応も事態を膨らませている。製品というものは完ぺきなものではないという点も理解しなければいけない」 --日本の電子メーカーも活力が大きく落ちた。 「想像力の欠如だ。今からの競争はアナログで結果が生まれる。デジタルは韓日中のレベルが変わらない。したがって今後、情報技術(IT)企業といってもデジタル技術よりも創造力が生存のカギとなる。ソニーが三星(サムスン)電子に追い抜かれたのも同じだ。技術ではなく創造力と情熱の差だ。企業家精神が弱まっている。世界最高という自負心が傲慢と油断を育てた。私は最近、大学の教壇に立つ時も、最終的にアナログの部分を確実にすべきだと強調している」 --日本の製造業は活力を回復できるのか。 「トヨタ問題で韓国や米国の自動車会社はチャンスをつかんだ。しかし漁夫の利を得るような安易な考えではいけない。技術格差がかなり狭まっているが、それでも日本の技術力は競争国とは深さや幅で次元が違う。しかもグローバル化によって労働コストの差がなくなっている。結局、生産コストが同じになれば、競争のカギはまた技術力になる。これが日本が生き残るための生命線だ。ここに日本は希望を抱いている」 --韓国企業が前轍を踏まないためには。 「日本は政治が良くないからこうなっている。社会の緊張感が緩んだのだ。韓国は絶対に日本の前轍を踏んではいけない。最近も1カ月のうち3分の2は世界市場を回っているが、日本人の勤勉性が過去に比べて大きく落ちたことを痛感する。非常に怠慢になった。韓国企業も現実安住は禁物だ。10年後の生存のために今から備える必要がある」
クローズアップ】トヨタ問題を眺める相反する視点(2)
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ジェフリー・ライカー氏「品質は今もライバルを圧倒…リコール批判は行き過ぎ」
日本トヨタ自動車の大量リコール問題は収まる気配がない。トヨタは来週、米国下院公聴会でリコール問題について釈明する。その間、トヨタの品質神話を高く評価してきた専門家らさえも、トヨタ生産方式(TPS)と日本式経営の限界を指摘している局面だ。 しかしTPSに関して米国最高の専門家とされる米ミシガン大産業工学科のジェフリー・ライカーライコ教授(60)は「リコール後に米メディアが提起しているトヨタの品質に対する批判は、真実と相当な距離がある」とし「トヨタは特有の‘トヨティズム(トヨタ精神)’で今回のリコールを招いた問題点を見いだし、速やかに改善しながらより強くなるだろう」と主張した。今回のインタビューは2度の電子メール交換で行われた。 --大量リコール波紋がまだ広がっている。実際にトヨタ車の品質と安全性に問題が生じたのか。 「顧客の苦情に対してトヨタにふさわしくない遅い対応をし、大量リコールを招いた面はある。しかしトヨタ車が他のライバル車に比べて安全でないとは言えない。昨年の秋、フォードが運転制御装置の異常で800万台をリコールしているし、該当車で550件を超える火災事件が発生したが、米メディアはこれを全く問題にしなかった。これと比較すると、最近のトヨタのリコール問題に対する批判は度が過ぎるようだ」 --今回のリコールは一度ではなく持続的に行われ、800万台を超えた。品質が悪化したのでは。 「リコールをしたからといって品質が悪化したと解釈することはできない。トヨタは最近の各種品質指数で他社を圧倒している。昨年の自動車専門調査会社JDパワーの初期品質指数でトヨタは20部門のうち10部門で1位になった。製造業ならリコールは避けられない経営行為だ」 --リコールの原因についてさまざまな原因と推測が出ている。 「明らかになったリコールの理由はゴムのフロアマット、加速ペダル、ブレーキシステムのソフトウェア欠陥の3つだ。マットがフロアに固定されていない場合、加速ペダルを押すということだが、これはトヨタだけでなく他社の車でも起こりうる。残り2つの欠陥は設計上の問題だ。トヨタが部品会社に発注した設計の承認はすでに7年前のものだ。7年間に2つの設計を失敗したとすれば品質管理上それほど悪い数値ではない」 --ではトヨタは何が問題なのか。 「トヨタが消費者の苦情にもっと速やかに対処しなかったという点だ。これはトヨタが強調する問題点を自ら見いだしてカイゼンするというTPSにも反する。TPSで最も大きな罪悪は問題点を隠すことだ。リコール前にトヨタの強みがきちんと作動しなかったというのがもっと大きな問題だ」 --欠陥が安全に関する事故につながれば、消費者は不安になるしかない。 「自動車は極めて複雑な機械なので、使用上で生じるミスを予測したり、問題点を追跡したりするのは難しい。どの自動車会社も完ぺきではない。問題はメディアのトヨタ批判が公正でないという点だ。フォードの中型車であるフュージョンハイブリッドもプリウスと同じブレーキシステムに問題が生じたが、フォードはリコールをしなかったし、メディアもこれに言及しなかった」 --協力会社の納品単価を無理に引き下げて品質が悪化したという見解もある。 「トヨタは競争力向上のために攻撃的にコスト削減に取り組んできた。韓国の現代・起亜(ヒョンデ・キア)車がしてきたことと同じ方式だ。トヨタは内部的に生産効率化と品質向上を試み、協力会社に同じ水準を要求しただけだ。納品価格の引き下げとリコールは別の問題だ」 --リコール後のトヨタに対する展望は。 「危機をチャンスにし、さらに強くなるのがTPSだ。消費者の信頼を回復するためにはトヨティズムの原論に戻らなければならない」  

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